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精密検査後の 分析作業 と 診断
矯正治療を始めようとすると、精密検査が必要になります。
その精密検査の資料を分析して 治療計画を立案して行きます。
実際にどんな作業を行っているかを ご紹介します。
分析作業は大きく分けて 模型分析 と 頭部規格X線写真の分析 に分かれます。
その他にCTの分析もありますが、歯科用CTのページを見て下さい
歯型を採ってが出来上がった後、模型分析を行っていきます
歯列の幅を1か所づつ、歯の幅径も1本ずつノギスを用いて計測します。
それぞれ全ての計測値を分析に用います。
実際の模型分析結果を見てみましょう
左側の分析表は 歯列弓の幅径(アゴの横幅)を表す項目です。
犬歯-犬歯、小臼歯-小臼歯、大臼歯-大臼歯間を全て計測します。
右側の分析表は 歯列弓や歯槽骨の幅径や長径、そして歯の大きさを表す項目です。
歯の大きさは左右を計測して平均を出しています。
非常に大事な分析項目です
例えば、”ガチャガチャ”な歯並び「叢生」の原因は
1. 顎の横幅が狭い場合
2. 歯が大きい場合
3. その両方が合さった場合
この3パターンです。 その他にも様々なパターンがあります。
まとめるとこの表のパターンに分類されます。
漠然と「顎が狭いですね~」と言う訳にはいきません。
左側の分析表は arch length discrepancy の分析表です
英語で書くとカッコ良いですね~
歯列弓の大きさと歯の大きさの不調和を指します。
単純に言うと、顎のスペースの中に歯が並ぶことが出来るかという事です。
右側の分析表は Tooth Size Ratio の分析表です
上下の歯の大きさのバランスが取れていないとしっかりとした噛み合わせになりません。
上の歯に対する下の歯のバランスを計算して分析しています。
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続いては 矯正歯科治療に欠かせない
側方の頭部規格X線写真(セファログラムとも言います)の分析です
横顔のレントゲン写真のことです
撮影したレントゲン写真ををトレーシングして、分析線を書き込んでいきます。
ここまでの作業を終えると、分析可能な状態になります。
左側の分析表は Linearの分析です(距離計測の事です)
その名の通り計測点間の距離を表しています。
骨の大きさ、距離、平均値からの逸脱具合が分かります。
右側の分析表は Anglerの分析です(角度計測の事です)
先ほどの距離に対して、計測点間の角度を表しています。
矯正治療の分析には無数の流派があります。
「表千家」、「裏千家」、「武者小路千家」みたいな感じですね。
何処の世界も色々とありますので・・・
好みはそれぞれですが、決定的に優れている分析法もないため、
様々な分析表を比較しながら症例の概要を掴んでゆきます。
Ricketts と Mcnamara の分析表です。 これも様々な流派の一つです。
骨格の垂直的なパターンの把握に非常に参考になる分析です。
左側の分析表は、SteinerとTweed の分析です。
重複する分析項目もありますし、、呼び方が流派によって違ったりもします。
右側の分析表は MEAW の流派の人たちが提唱している分析です。
A.P.D.I. とか O.D.I とか色々と参考になります。
それらからE.I. を導く分析法です。
そして、開咬分析です。
臼歯部の挺出(伸び過ぎ)や前歯の低位(伸びが足りない)など総合的に確認できます。
以上の分析をビジュアルで分かりやすく表示したものが Profilogram です。
年代別、性別の平均的な横顔との比較が表現されています。
そして、V.T.O.(visual treatmentobjectives)横文字でカッコ良いですね~
治療目標の設定や治療プランに関する術前術後の評価ができます。
ただし、これだけでは「絵に描いた餅」なので
実際のメカニクスや治療法の選択は 矯正医 の仕事となります。
正直。。 流派が多いです (;・∀・) そのどれもが参考になります。
その一方で、決定的に優れている分析法というのもありません。
決定打に欠ける種々の分析を比較しながら自分で結論を出すしかありません。
診断とは 骨格・歯牙・軟組織の治療目標 を立て
それに必要なメカニクス
それに必要なツール や トレーニング
それらの スケジュール などを立案します。
私たちは ”歯並び” だけを治しているのではなく、
患者さんの人生をより良い方向へ変えるためのお手伝いをしていますので。
患者さんの要望や社会背景まで含めた治療計画を立案して行きます。
投稿日 : 2017年03月07日(火)
カテゴリー : 矯正治療あれこれ
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